たぶん悪魔が

溶けてバターになるまでの記録

家族が悲しむからダメ、と言われ

「子どもの頃から、今生きている世界は全て自分の創造が作り上げたもので、長い夢のなかにいる状態なんじゃないかと疑ってきました。たまに音楽や映画で僕の思いもよらない、と言いますか、想像を超える、と言いますか、とにかくそういったものに触れると、こうした妄想のようなものは否定されそうになるんですが、でもやっぱりそれも僕の潜在意識が生んだものじゃないかと思って、この考えに戻ってくるんです。せっかく僕の脳が緻密に作り上げた世界なんだから世界中の楽しいことをたくさん経験しなくちゃもったいないと思う一方で、これは僕の夢なんだから、いつ覚めるのも自由、とも思うんですよね。僕が死ぬときに世界が消えるのなら、僕の死で悲しむ家族はいないから大丈夫だと思うんです。」

――いつだったか、診察のときの僕の言葉。